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zoom RSS それは半世紀をかけて世に出てきた。

<<   作成日時 : 2013/09/23 22:45   >>

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今年の5月、いわゆる「マイナンバー法案」が国会を通過。
2016年(平成28年)から、税と社会保障の共通番号制度が運用開始されます。

そして、今、ようやく、その概要が政府より明示され、各自治体への説明も始まりました。

元・電算担当の役所関係者としては、正直、「ようやくですか・・・」というのが、まずもってな印象です。

この制度、1968年(昭和43年)の佐藤内閣、1983年(昭和58年)の中曽根内閣などが、導入を検討していましたが、「国民総背番号制」「国家による国民の管理」などと、国民の猛反対を受けて、その都度、挫折してきました。
2002年(平成14年)の住基ネットの導入の時も、この制度と結びつけて、大きな反対運動が起きました。

それ以後も、幾度となく霞ヶ関で議論されながら、結局、今日まで、日の目を見ることのなかった、いわく付きの制度だと言って、間違いないでしょう。

前述のとおり、各種の個人情報が一元管理されるとの不安や恐怖・嫌悪から、この制度の導入に否定的な意見は存在します。

しかし、昨今では、情報の電算化・ネットワーク化があたりまえの時代となってしまいました。
少々、乱暴ですが、今更、どうのこうの・・・というのが、大多数の人にとって、本音レベルのお話ではないかと思います。

少々、脱線しますが、私は、住基ネットの導入について、少々、関わりました。
その時、各種の資料や情報に接し、実物も触ったわけです。

その時の記憶で言うなら、
・外部の回線からの侵入は、事実上不可能。
・仮に侵入されたところで、ダメージコントロール機能が存在する。
・内部からの侵入に対しても、同様にダメージコントロールが機能する。
(この場合の「ダメージコントロール」とは、侵入や情報漏洩の拡大を防ぐ機能と考えてください)

以上、3点から、ひとつのネットワークシステムとしては、極めて安全な部類であると考えていました。現場レベルの情報として。

あれから10年以上が過ぎますが、外部から住基ネットに侵入したという例も、システム上の情報漏洩も、ただの1件もありません。
実績として、住基ネットの安全性については、高いレベルで担保されていることが、実証されています。
(注意:非システム的な意味での情報の流出は、ごく少数、あったようですが、これは、スタンドアロンでも紙情報でも発生しうる事象です。住基ネットというシステムに対する問題ではありません。念のため)

このように、現在、政府が使用しているネットワークのセキュリティが、高度なレベルにあるのに、現在、住基ネットに流れているのは、「住所」「氏名」「生年月日」「性別」だけです。

これらは、各自治体で○○○名簿の閲覧を請求すれば、普通の一般市民が合法的に見ることのできる情報です。
乱暴に言ってしまえば、すでに一般公開されている情報です。
(注意:あえて、名簿の名前は伏せましたが「選挙期日の公示または告示の日から選挙期日の5日後までの間」だけ、閲覧請求できなくなる「アレ」です)

私は、本来であれば、この時に、税と社会保障の情報を関連付ける、キー情報を追加掲載しておくべきであったと、思っています。

税や社会保障のほか、住民情報がバラバラに管理されていることは、官公庁の業務に、大きな非効率を生んでいます。

社会保障は世帯情報と所得や課税標準の情報に。
課税標準は、扶養家族それぞれの世帯情報・所得情報に。

それぞれが、密接にリンクしていながら、それをひもづけるキー情報がない。
そのため、それらの情報の突合に、現在でも、多くの時間と経費が消えています。

ぶっちゃけたお話、役所の税・福祉系の窓口で、
「なんでこんなに時間がかかるんだ!」
「調べれば、すぐわかるだろう!!」
「ネットワーク化できてないのか?役所は時代遅れだ!!」
・・・なんて、言ってる人には、私、いつでも言っています。

「役所はやりたいんですよ。でも、国民が大反対して、何度も法案が流れてるんです。ほら『国民総背番号制』って、ご存じでしょ?」
・・・って(笑)。

ここで黙る人は、たいてい、(反対した側として)心当たりがあるようです。はい(苦笑)。

また、この、税と社会保障情報・住民情報の一体化が、もっと早く為されていれば、「消えた年金問題」も、発生しなかった・もしくは、もっと小さなダメージで済んでいたかもしれません。

そのように、「いまさら」な、制度として、今「マイナンバー」制度が、ようやく、世に出ようとしています。

結局、世に出るまでに半世紀を要したわけですが、その間に、失われた経費と時間は、もう、戻りません。

私は、前回の住基ネットに続き、今回のマイナンバーに関しても、とある立場から、1枚噛むことになりました。

ため息をつきながら、失われたものを惜しみながら、粛々と職務を遂行するだけですが、この「いまさら」感は、常に、私にまとわりついているようです。
はい。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
社会保障・税番号制度
10月末までがクールビズ期間ですが、ここ数日で急に気温が下がっています。薄着のま ...続きを見る
公務員のためいき
2013/10/06 01:34

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
ITを少々齧った者としては、マイナンバー制度ごときでは個人情報も税捕捉にも社会保障捕捉にもほとんど影響がない、というのが定説になってると思います

だからマイナンバーの論点は本来、行政の利便性とコストの勘案「だけ」なんです

プライバシーとか税捕捉には何の功も害もない

某国のようにレジに監視装置をぶち込んで回線繋ぐなんて業は脱税者の権力が強い日本では無理
革命烈士
2013/09/24 04:08
SSNがあれば、年金記録の問題はもう少し緩和されたであろうことは、想像が出来ます。
多重付番が抑止できたハズですので、少くとも未統合記録の数は大きく減ったでしょう。
氏名(ふりがな)の過誤や年齢のさばよみによる誤った届出(形式上正しいが、隠れた過誤がある届出)も検出できて、記録のデータ品質も向上したハズですし。
厚生年金保険法(当時は労働者年金保険法)制定の段階で(出来れば前年の船員保険法の段階で)、SSNという制度があれば・・・感はありますねぇ、ワタクシにも。(後知恵感タップリですが;;

一方で、「SSN*さえ*あれば年金記録問題は発生しなかった」というのは、必ずしも真実ではありませんけど。
SSNのある他国でも、年間数万件の「宙に浮いた年金記録」が毎年発生してる訳ですし、それはこの国でSSNがあったとしても起こりうる事態ですし。

これは年金をはじめとする社会保障給付だけでなく、税の賦課徴収においてもですけど、同制度は「必要条件ではあっても、十分条件ではない」という点は、とりわけ為政者に理解して欲しいところです。

「制度の問題」と「執行(制度運用)の問題」は別なんだよ・・・。(ボソッ
後者を正しても、前者の解決には無力ですにゃ。(逆も真だけど)
秘匿希望。
2013/09/24 13:50
事故レスです。

制定当時の労働者年金保険法が昭和16年法律第60号 ※現行法は昭和29年法律第115号
船員保険法は昭和14年法律第73号

というわけで、船員保険法の制定は、厚生年金保険法(当初は労働者年金保険法)の前年ではなく、「前々年」でした。直近の投稿では「前年」と書いていますが、改めて確認したら間違ってました。ごめんない。あやふやな記憶で書いたのが失敗でした。(汗;;

※なお、SSNの導入問題で船員保険法を持ち出したのは、当初の船員保険制度が「船員に対して医療給付・年金給付・執業給付・労災給付を行う総合的社会保険制度だった」からで、最初期の船員保険法には厚生年金相当の年金給付が含まれていたことによります。
秘匿希望。
2013/09/24 14:03
管理人さんです。

ご指摘のとおり、共通番号制度等があっても、年金消失問題は、発生していたと思います。

本文中カッコ書きしました「消えた年金問題」というのは、消失の有無ではなく「社会問題としての事件」の有無・大小という意味での記載ですので、コメント欄ですが、補足させていただきます。

というか、この表現では正直弱いわ、きっとツッコミが入るだろーなと、思ってはいたのですが、それを想定しつつ、もっとわかりやすい記述ができないという管理人の文筆力の欠如と「もういいやっ!」という、いい加減な管理人の性格が問題であって(以下略
k.k.@管理人
2013/09/25 23:33
あっ、ワタクシ管理人様のエントリ本文の主旨は、理解しているつもりです。で、ご主旨には賛意を示す立場です。
本旨からすると、記録問題云々に焦点をあてるのは、木を前にして枝を論じるコトかな??みたいな。
所謂「成り行き(謎)」から、詳細に踏み込んだツッコミコメントをしましたが。(汗;;

そう言えば、○○○名簿の縦覧・閲覧は、普段あまり意識しませんけど、そう言われればコレはその性質・目的上、公開原則を抜本的に転換するのは難しそうですねぇ。一部で「縦覧・閲覧の制度の廃止を求める声(運動?)」というものがある事は、承知していますけど。
一応、住基台帳の閲覧と同じく、閲覧時の制約を強化する方向で法改正(H18頃から?)は為されているみたいではありますけど・・・、どうなって行くでしょうか。
秘匿希望。
2013/09/26 10:04
年金記録を数千万件も捏造するってのはシステムの問題じゃなく職員の邪悪な人格のせいでしょう

あたかも「番号法に反対する奴らのせいで年金記録問題が発生した」と言ってるみたいだ。

最近こういうの多いよな
反対派のせいで…報道のせいで…アメリカのせいで…ユダヤの陰謀が…多国籍企業が…チョンが等々

「責任者でありながら、自らを『弱者』や『被害者』と規定し、取るべき責任から逃げる」

これが官庁及び規制セクターを覆っている古き悪しき日本的経営の、一つの弊害であろう
革命烈士
2013/09/28 16:17
未統合記録が5000万件 ≠ 捏造された記録が5000万件という意味ではないのだけど、世間的にはそう思われとるかも知れんな。

1997年以前に複数の年金制度に加入した経歴の人は、制度上(法律に忠実で在ればこそ)複数の年金記録を持っていたし、当然に統合されていなかった。
かくいうワタクシも、法律上当然に(適正な事務処理の結果)複数の年金記録を持っていたし、それは未統合記録の中の1件だったさ。もちろん然るべき手続で記録統合をして貰って、今は正しく一つの年金記録になってる。記録内容に過誤もない。

件の5000万件の中には、再就職の際に過去の年金番号を申告する法律上の義務を怠った人は複数の年金記録をもっていたし、虚偽の届出による年金記録もあれば、事務処理の過誤による年金記録もあった。

少なくとも”捏造”という日本語の意味からすると、「数千万件の未統合記録が”*すべて*役所によって捏造されたもの”という事実は存在しない。」ので、ものごとを正しく理解する気のある人は、そのように理解してください。
秘匿希望。
2013/09/28 21:10
んで、役所の過誤で不適切な金額の年金が支給されていたのを、過誤を認めて「正しく記録し直した結果、却って年金額が減った」という場合、役所の側の人間が申し訳なく思うのは人情として間違っては無いと思うし、記録の訂正に乗り気でないのも判らんでも無い。それでも訂正して減額するのが職責だけど。

管理人様の論旨は、その当りの「記録を訂正した結果、不利益の生じた事案については、複雑だ・・・という心情の表明」であって、別に「記録の訂正を渋る」とか「被害者意識」ではないわな。

とはいえ、自治体関係者の心情として、旧社会保険庁に対して「被害感情というか、余計な仕事を増やして・・・」みたいな感情が沸いてくるのは、こりゃ当然だとも思う。

アレコレ言っても、管理人様の論旨を「故意か過失かは問わず」、誤解や曲解して、誤解や曲解を前提に論じたり意見表明するのもムダな労力だろうという気はする。(勿論ワタクシの投稿も含めて。。。ポカッ☆
秘匿希望。
2013/09/28 21:20
管理人さんです。

えーと・・・
管理人、出る幕なしっ!!

追記することが、なくなっていますが・・・(笑)。
こんなに楽させてもらって、いいんですかねぇ・・・?

とにもかくにも、ありがとうございます。
k.k.@管理人
2013/09/29 19:09
本題に戻って・・・。
共通番号ってのは、必要条件であって十分条件ではないというのはワタクシの基本認識です。

が、*十全(十分)*を求めるなら、先ず必要条件を整えましょうよ。とも思います。ので、管理人様の仰りたいコトは理解できたツモリになっています。(汗;;

そして、必要条件を整えたことでもって、十分条件が整ったという誤解が広まる事態を危惧しています。
また、為政者(所謂「政治家」という立場にある人)には十分にこの点を理解して欲しいと思っています。とりわけ、某政党の某行政領域についての言動を踏まえると、この憂慮は杞憂ではないと思っています。

必要条件を整えた段階で、「十分条件を整えたはずなのに、上手くいかないのは・・・」という論調になってしまうと難儀かなぁと。
秘匿希望。
2013/09/30 12:04
秘匿希望。(2013/09/28 21:10)を改めてみると、先頭の一文がなんか変ですね。

意図としては、「未統合記録が5000万件 とは 捏造された記録が5000万件 ではない。世間的にはそう思われてるかも知れないが。」という一点です。

制度改正によって、それまで各制度毎に分立していた記録(併せて約3億件(だったか?)の記録)を、個人毎に統合を進めた(制度別の記録から、個人別の記録に移行を図った)結果、未統合のまま残った5000万件ということでもあり、その性質上易く統合しがたい何か?がある可能性は高いですけどね。なお、その後の施策によって、5000万件の未統合記録もそれなりに減ってきてはいるのは間違いないので、為念。
秘匿希望。
2013/10/09 11:47

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